たんぱく質不足でPMS(月経前症候群)は酷くなる?たんぱく質と生理前の不調の関係について解説
生理前症候群(PMS)は、多くの女性が生理周期に入る前に経験するさまざまな不調や症状を指します。
代表的な不調の症状はイライラ感、腹痛、頭痛などで、その程度は個人差があるものの、毎月身体の調子が悪い期間がやってくるのは悩みものですよね。
食事とPMSの関連性は深く、たんぱく質の不足も生理前の不調が出やすくなる要因の一つとして考えられていますよ!
本記事では、たんぱく質とPMSの関係に焦点を当て、なぜたんぱく質が重要なのか、不足するとどのような影響があるのかについて解説します。
生理前の不調を食事で改善したい方に向けて日常の食事にどのようにたんぱく質を取り入れるかについてもご紹介しますので、PMSでお悩み中の方はぜひご一読ください。
たんぱく質とは?
たんぱく質の重要性
たんぱく質は身体の細胞や組織を構成する基本的な栄養素であり、髪や爪、筋肉、骨、内臓などの形成に欠かせません。
また、酵素やホルモンの合成にも関与し、免疫機能や血液の酸素運搬にも重要な役割を果たしています。
日常の食事で摂取するたんぱく質の量
たんぱく質=筋肉の材料のイメージが強いですが、実はそれだけではありません。
身体のありとあらゆる細胞や組織を構成し、酵素やホルモンの合成にもたんぱく質が関与しています。
筋肉、髪、爪や内臓などの形成に不可欠であり、健康な身体やその機能を維持するためにはたんぱく質を十分に摂取することが必要です。
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、18歳以上の女性の場合、1日あたりの必要摂取量は50g※が推奨されています。
※個人の体格や体質によってはこの限りではありません。
たんぱく質が不足すると筋肉量の減少といった影響が出るだけでなく、貧血や免疫力の低下、肌荒れなどが生じる場合があります。
生理が来ることや低血圧の人が多い傾向から、女性は特に意識してたんぱく質を摂取する必要があると言えるでしょう。
こちらの記事でもたんぱく質不足が与える影響について詳しく解説していますので、「何となく最近身体がだるい…」、「なかなか疲れが抜けない…」と感じている人はぜひチェックしてみてくださいね!
身体のダルさはたんぱく質不足が原因?女性の不調とたんぱく質の関係について
月経前症候群(PMS)とは
生理前症候群(PMS)は、通常、女性の生理周期の一週間から10日ほど前に現れる一連の身体的および精神的な症状です。
情緒不安定、イライラ、抑うつ感、頭痛、乳房の腫れや痛み、腹部の不快感や異常な食欲の増進などの様々な症状が含まれます。
女性ホルモンをはじめとする、ホルモン分泌の変動が主な原因であり、特に月経周期の後半におけるエストロゲンとプロゲステロンの変動が影響を与えます。
これらの症状は個人差があり、重症度も異なるため、ほとんど影響を受けない人もいる一方で、立っているだけで辛く感じるほど生活に支障をきたすような症状が出る人もいますよ!
ライフスタイルの変更、健康的な食事、運動、十分な睡眠はPMSの症状を和らげるのに役立つことがあります。
しかし、大前提として、症状が強く出ている場合や日常生活に支障がある場合は医師に相談した方が良いことを念頭に置く必要があります。
たんぱく質不足とPMSの関係
ここからはたんぱく質の不足がPMSに与える影響について解説します。
満腹ホルモンを作る材料が不足して食欲を抑えにくくなる
人が食事を摂って満腹を感じると、満腹ホルモンのレプチンが分泌されます。
レプチンの分泌も女性ホルモンの分泌のバランスによる影響を受けます。
エストロゲンの分泌量が多い卵胞期は食欲抑制ホルモンのレプチンの分泌がサポートされている状態で、食欲が安定しやすい時期です。
しかしながら、黄体期にかけてエストロゲンの分泌が減少するため、我慢できないほどの食欲を抑えるには、レプチンの分泌を高める対策が必要です。
そのためにはレプチンの材料である、たんぱく質を積極的に摂ることが有効な対策として挙げられます。
特に、肉や魚や卵、乳製品といった動物性たんぱく質を摂取することでレプチンの分泌量が高まったと言われています。
たんぱく質は一度に吸収できる量が限られているので一気に大量に摂るのではなく、毎回の食事でたんぱく質をこまめに摂るのがおすすめです。
筋肉が不足して血流が悪くなり、生理前に下腹部の痛みが生じやすくなる
たんぱく質は筋肉の材料となる栄養素です。
筋肉の少ない女性は、男性に比べて血行不足が生じやすく、冷え性になりやすい傾向があります。
また、子宮は骨盤の中でハンモックのようにぶら下がったように位置し、その周りを骨盤周辺の筋肉が支えています。
そのため、筋肉が不足していると骨盤周りの血行不良を引き起こしやすくなるので、生理前から生理中の下腹部に痛みを感じやすくなる場合がありますよ!
アルブミンが減ってむくみやすくなる
アルブミンは肝臓で作られるたんぱく質で、血液中に存在しているたんぱく質のうち最も多く存在しています。
水分調整に関与しており、血管内の水分の保持などの血液中の浸透圧の維持といった役割を持ちます。
アルブミンの材料もまた、たんぱく質なので摂取量が不足すると生理前のむくみの症状が出やすくなる可能性が高まるでしょう。
また、アルブミンが不足すると血液中の水分保持に支障が出るため、生理の際の経血がドロドロとしやすくなる場合があります。
リラックスホルモンのセロトニンが生成しにくくなり、イライラしやすくなる
生理は女性にとって身体的な変化だけでなく、心理的なストレスや不安も伴います。
これは、脳内の神経伝達物質で、「幸せホルモン」とも呼ばれているセロトニンのバランスが乱れることによってネガティブな気持ちになりやすくなったり、食欲が増進する傾向が高くなったりすることも関連付けられます。
緊張感を和らげて心を落ち着かせるリラックスに深く関連があるホルモンのセロトニンは、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が生理前のタイミングで減少する影響を受けて分泌量が低下します。
また、たんぱく質不足でもセロトニンの分泌量に悪影響を及ぼします。
これは、セロトニンをはじめとする神経伝達物質はたんぱく質が原料となるためです。
たんぱく質はアミノ酸で構成されており、その中のトリプトファンによってセロトニンが作られます。
トリプトファンは自分の身体からは作り出すことのできない必須アミノ酸であるため、食事やサプリメントでしっかりと摂取することが必要です。
この記事のまとめ
いかがでしたでしょうか?
最後にこの記事を簡単におさらいしましょう!
この記事は生理前症候群(PMS)とたんぱく質の関係に焦点を当ててご紹介しました。
PMSは生理周期前に女性が経験する様々な不調や症状であり、イライラ感や腹痛、頭痛などが代表的な症状です。
食事とPMSの関連性が深く、たんぱく質の不足がPMSの不調を引き起こす一因にもなりかねません。
たんぱく質は身体の細胞や組織の構成要素であり、酵素やホルモンの合成にも重要で、日常の食事で摂取するたんぱく質の量は女性にとって特に重要であり、不足すると筋肉量の減少や血流の悪化、セロトニンの生成低下などが起こり、PMSの症状が悪化する可能性があります。
そのため、女性は積極的にたんぱく質を摂取することも大切な要素のひとつです。
生理前の不快感やPMS症状に悩む方は、日常の食事においてこれらのアプローチを試してみることで、より快適な生活を送る手助けとなるでしょう。